機能性表示食品ロートV5の機能について調べてみた
基本情報
ロートV5は、「見る力の維持をサポートする」という保健の目的が期待できるとして消費者庁に届出された機能性表示食品です。以下は届出された基本情報です。
- 機能性関与成分:
- ルテイン、ゼアキサンチン
- 届出表示:
- 本品にはルテイン・ゼアキサンチンが含まれます。
ルテイン・ゼアキサンチンには見る力の維持をサポートすることが報告されています。 - 主な対象者:
- 目の健康維持を意識する者
- 届出番号:
- A20
ここでいう「見る力」とは、『目で、くっきりとものを識別する力』ということです。
ロートV5がどのように働くのか(作用機序)
作用機序
届出資料は作用機序について詳しく説明していますが、簡単に書くと以下のようになると思います。(正確には届出資料を参照ください)
・ 黄斑色素光学密度が増加する。(注:ルテイン/ゼアキサンチンは黄斑色素の構成要素)
・ 青色光を吸収し、網膜を酸化ストレスから保護することに有効と考えられる。
・ 臨床試験で黄斑部中心窩の機能の一つである色コントラスト感度の改善を示した。
関連情報 - 見る力が失われる病気
目の病気のうち、ものを見る力が損なわれる病気には白内障、緑内障、加齢黄斑変性などがあります。海外では加齢黄斑変性や白内障の予防を期待してルテイン/ゼアキサンチンを摂取する人が多いことから、加齢黄斑変性および白内障についてみてみます。
加齢黄斑変性:
網膜は、目の中に入ってきた光を脳に送るといった「ものを見る」うえで重要な働きがあります。加齢黄斑変性は、網膜の中心部分の黄斑部が加齢、生活習慣や環境などの影響を受けて変化し、中心が歪んで見えたり、視力の低下が認められます。
白内障:
水晶体は、目の中でカメラのレンズのような働きをする組織であり、外からの光を集めてピントを合わせるはたらきを持っています。白内障は、白く濁った水晶体で光が散乱するため、目のかすみのようなみえづらさを感じるようになります。
機能性の科学的根拠(エビデンス)
機能性食品としての届出の際、機能性の科学的根拠の提示が求められています。科学的根拠は、最終製品や機能性関与成分に関する研究レビューを行い評価することが基本ですが、十分な情報がない場合には臨床試験を実施することが求められます。
ロートV5では、機能性関与成分に関する研究レビューで、機能性を評価しています。PubMedや医中誌などに2015 年 1 月までに公表された文献を調査した結果、1報を選んで根拠としています。下は届出情報からの抜粋です(一部改変)。
- 結果:
- ルテイン及びゼアキサンチンの1年間摂取により、プラセボ群と比較して黄斑色素密度の増加、色コントラスト感度の改善、光ストレス回復促進が認められた。
- 結論:
- 黄斑色素密度の増加が短波長光を遮るフィルター機能を果たし、光ストレス回復が促進、色コントラスト感度が改善すると考えられる。このため、ルテインとゼアキサンチンを摂取することは、視覚機能の維持に有効な手段であると考える。
- 文献:
- Hammondら2014(PMID: 25468896)
煩すぎ君の私が考えたこと
機能性の科学的根拠は大丈夫か
機能性の科学的根拠とした文献の結論(Conclusion)には「これらの結果は、MPOD増加により視機能の改善を示したこれまでの研究と一致する」と記載があります。結論を読む限り、文献の研究そのものでは「見る力の維持をサポート」した直接的な試験結果は得られてないように思います。他の研究と合わせての結論か。(論文が有料なので、アブストラクトのみ参照)
また、根拠文献の妥当性について「RCTの質の評価は、Jadad score(ハダッド・スコア) を採用した」と説明していますが、Jadad scoreは評価の妥当性に疑問があるため、最近はあまり用いられない評価方法とされているようです。
ルテイン/ゼアキサンチン
ルテイン/ゼアキサンチンの目に対する作用に関する研究、特にルテインの研究では数多くの報告があります。
例えば、加齢黄斑変性については、発症リスクを減少するという報告もあれば、リスク減少に寄与しなかったとする報告もあります(一貫性のある結論が得られていません)。白内障の発症リスクが減少したとする報告もあります。さらに、視力の回復(mildな回復)をしたとするメタアナリシスの結果も報告されています。
考えたこと。思うこと。
機能性の根拠は、ヒトにおいて見る力の維持をサポートした結果を示したものではなく、見る力の維持をサポートする「理論の根拠」というべきものかと。しかし、ルテイン/ゼアキサンチンが目の健康に良いとする研究報告は数多いことから、目の健康維持を意識する中高年には摂取してみる価値があるように感じます。
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度での「機能性表示食品ロートV5の機能について調べてみた」でした。
なお、「煩すぎ君の私が考えたこと」は調べた範囲で私が考えたこと、思うことであり、あくまでも個人の感想であるとご理解ください。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
機能性表示食品ロートV5の機能について調べてみた