健康食品&サプリメントWATCH

A4用紙1枚程度で示す、健康食品やサプリメントについて調べた記録

機能性表示食品 ヘルスエイド サラシアの機能について調べてみた

高カロリー食イメージ

基本情報

サラシアは、「糖の吸収をおだやかにし、食後血糖値の上昇をゆるやかにする」という保健の目的が期待できるとして消費者庁に届出された機能性表示食品です。

機能性関与成分:
サラシア由来サラシノール
届出表示:
本品にはサラシア由来サラシノールが含まれます。サラシア由来サラシノールには糖の吸収をおだやかにし、食後血糖値の上昇をゆるやかにする機能があることが報告されています。
主な対象者:
疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦を除く)
届出番号:
A62

サラシアがどのように働くのか(作用機序)

届出情報には「サラシア由来のサラシノールは、ヒトの腸管に存在するショ糖(シュクロース)や麦芽糖(マルトース)などの二糖類を加水分解する酵素(α-グルコシダーゼ)の働きを阻害する」ことが説明されています。ちなみに、サラシアとは、インドやスリランカから東南アジアにかけて自生するツル性植物です。

参考情報を少し追加して書きます。

ヒトが炭水化物(多糖類であるデンプンを多く含む)を摂取すると、アミラーゼにより二糖類(スクロース、マルトース等)に分解され、さらに小腸粘膜上皮細胞に存在するマルターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼ等により単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース等)まで分解され吸収されます。このうち、二糖類のα-グルコシド結合を加水分解する酵素を総称して「α-グルコシダーゼ」と呼びます。

参考までに、この酵素α-グルコシダーゼの働きを阻害する医薬品が血糖降下剤として開発されており、α-グルコシダーゼ阻害薬と称します。α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸内でα-グルコシダーゼの活性を阻害し、二糖類の分解を阻害して糖質の吸収を遅延させ、食後血糖値の上昇を抑制します。

機能性の科学的根拠(エビデンス)

機能性食品としての届出の際、機能性の科学的根拠の提示が求められています。サラシアでは、「機能性関与成分に関する研究レビュー」から機能性の科学的根拠を説明しています。根拠とする参考文献は2報です。

[文献1:別府秀彦ら2005]
・ 空腹時血糖値が110mg/dL未満の日本人健常者14例に対して、サラシア抽出物150mg(サラシノール0.2mg相当)およびシクロデキストリン650mg摂取後の血糖値をプラセボと比較したクロスオーバー試験(食後血糖値の評価は単回投与後)
・ プラセボ摂取に比べて、サラシア抽出物摂取により、血糖値が有意に低下した

[文献2:Heacock PMら]
・ 空腹時血糖値が85-88mg/dL未満の米国人健常者39例を対象に、サラシア抽出物500, 700, 1000mg摂取後の血糖値をプラセボと比較したクロスオーバー試験(食後血糖値の評価は単回投与後)
・ プラセボ摂取に比べ、サラシア抽出物1000mg摂取により、血糖値が有意に低下した

日本人健常者を対象とした試験の結果について、公式サイトでは以下の図を用いて説明しています。

サラシア摂取後の血中濃度推移

摂取群が 127.7±22.5mg/dL、プラセボ顆粒摂取群が 136.4±24.8mg/dL で、サラシア属植物熱水抽出物摂取群は有意に血糖値上昇の抑制を示した

煩すぎ君の私が考えたこと

食後高血糖について

食後の血糖値が高い状態のこと。国際的な指針では、食後2時間の血糖値が140mg/dLを上回る場合を「食後高血糖」と定義しています。食事から糖分が吸収されると血糖値は上昇しますが、それに反応して分泌されるインスリンにより血糖値がすぐに下がります。しかし、インスリンの分泌量が少ない人、分泌されるタイミングが遅い人では、食後の血糖値がすぐに下がらず、高い値が続きます。

食後高血糖を放置すると膵臓の疲労をもたらし、インスリン分泌量の低下やインスリン抵抗性(肝臓や筋肉などの組織でインスリンが効きにくくなる)を招きやすく、糖尿病に進展する恐れがあります。また、空腹時血糖値が正常な人でも、食後高血糖を放置しておくと動脈硬化の進展に寄与することが報告されています。

食後高血糖かどうかは、検診での糖負荷試験(OGTT)が目安の一つなりますが、食後に強い眠気を覚える人では食後に血糖値が高い可能性があります。食後高血糖の改善として自分ができることには、生活習慣の改善すなわち適度な運動と食事療法が必要です。

考えたこと。思うこと。

食後に血糖が高いと自覚がある、または耐糖能異常の恐れがある方で、生活習慣を改善しても変化を感じられないようであれば、サラシアを試すことも一つの手だと思います。サラシアの機能については、動物実験でα-グルコシダーゼの阻害作用が確認されており、また例数が少ないとはいえ臨床試験で食後血糖値の減少が認められたことが、作用機序の裏付けおよび機能のエビデンスになると考えてよいのではないかと思います。

なお、サラシア摂取の対象者が「疾病に罹患していない者」であることに注意が必要です。糖尿病と診断され、血糖降下剤を服用している方がサラシアを追加で摂取した場合、低血糖を生じる恐れが高くなります。自分は糖尿病だけどサラシアを使ってみたいという方がいるとすれば、主治医へ相談してからにすべきだと思います。

さいごに

以上、A4サイズに治まる程度での「機能性表示食品 ヘルスエイド サラシアの機能について調べてみた」でした。
なお、「煩すぎ君の私が考えたこと」は調べた範囲で私が考えたこと、思うことであり、あくまでも個人の感想であるとご理解ください。

A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
機能性表示食品 ヘルスエイド サラシアの機能について調べてみた

  • 管理人はこんな人

    こんにちは。
    私は、薬剤師の資格を持つ元製薬会社社員。退職後は医学論文の素案作成、そして資格や経歴と無関係の仕事を主にしてます。
    知人から薬について相談されたことをきっかけに、一般用医薬品や健康食品について勉強を始めたところです。
    「健康食品&サプリメントWATCH」は、勉強した内容、そして考えたことをA4用紙1枚程度に書き出した、いわば個人メモです。個人メモですが、どなたかの役に立つことを願って...。
    姉妹サイトの「くすり&健康WATCH」ともども、どうぞよろしくお願いいたします。