OTC風邪薬について調べてみた
風邪とは
風邪とは、咳、咽頭痛、鼻水、発熱などの症状を伴う上気道感染症のことであり、そのほとんどがウイルスの感染が原因で発症します。風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あると言われ、一度感染して治っても別のウイルスに感染すると再び風邪をひいてしまうのです。
風邪の主な症状は、鼻水、咳、痰、発熱ですが、これらはウイルスに対する生体防御反応です。鼻水は鼻腔内の異物を排除、咳および痰は気道内の異物を排除、発熱は免疫反応の促進とともにウイルスの活性を低下させる生体防御反応です。
OTC医薬品の使用が適切かどうか判断しよう
39℃以上の高熱の場合、鼻、喉や咳の症状が重い場合等は受診が勧められます(下表)。発熱が38~39℃の場合、他の症状が複数出ていれば受診が勧められます。一方、OTC風邪薬の使用が適当と考えられるのは、38℃以下の発熱、鼻、喉や咳等の症状が軽い場合です。
自宅療養(OTC薬使用が適当) | 臨床所見 | 医療機関を受診した方がよい |
---|---|---|
38℃以下 | 発熱 | 39℃以上 |
透明感がある | 鼻汁 | 黄色・緑色(混濁) |
軽い場合 | 咽頭痛 | 激しい痛み、腫脹 |
軽い場合 | 咳 | 激しい場合 |
呼吸器感染症に関するガイドライン(日本呼吸器学会)を改変
なお、インフルエンザの疑いがある人、慢性呼吸器疾患、心疾患や糖尿病などの持病がある人では受診が勧められます。また、妊娠している場合は産婦人科医に相談することを勧めます。
OTC風邪薬にはどのようなものがあるのか
OTC風邪薬には、体の負担となる諸症状を抑える複数の成分が配合されています。
分類 | 成分例 | 作用・特徴 |
---|---|---|
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 体温調節中枢に働き熱を下げる |
鎮咳成分 | ジヒドロコデインリン酸塩 | 咳中枢の興奮を抑制して咳を鎮める |
気管支拡張成分 | メチルエフェドリン塩酸塩 | 交感神経興奮作用 |
去痰成分 | カルボシステイン | 痰の粘稠度を下げる |
鼻症状に | クロルフェニラミンマレイン酸塩 | ヒスタミン起因の鼻水、鼻づまりを解消 |
抗炎症成分 | トラネキサム酸 | ブラジキニン産生抑制 |
生薬 | カンゾウ | 鎮咳、去痰 |
その他 | 無水カフェイン | 頭痛の緩和 |
OTC風邪薬の選び方や使い方で注意したいこと
OTC風邪薬の選び方~症状に合わせて選ぶ
OTC風邪薬には各症状に効く成分の配合を変えた多種多様な製品があり、症状に適した有効成分を含む風邪薬を選ぶことが重要です。多くの風邪薬では、適する症状が外箱に記載されています。なお、高血圧や緑内障等の基礎疾患のある人では、これらの病気に影響を及ぼす成分を含むことがあるため、服用前に確認することが重要です。
OTC風邪薬の例 | 外箱記載の効能 | 成分と特徴 |
---|---|---|
ベンザブロックS | 鼻水・鼻づまり | 鼻汁の分泌を抑えるヨウ化イソプロパミド、等 |
ベンザブロックL | のどの痛み、発熱 | イブプロフェンの解熱・鎮痛作用、等 |
OTC風邪薬の使い方で注意したいこと
『ルルアタックEX』の添付文書を一例として、添付文書の読み方を示しました。薬を安全に使うためには、添付文書をよく読み、内容を理解することが大切です。
セルフケアとして心がけたいこと
風邪の諸症状は生体防御反応と書きましたが、過剰な反応は患者の体の負担となることから、症状を適切に抑え、免疫がウイルスと闘う体調を整えることが風邪薬を服用する目的です。風邪をひいたら、栄養と水分を十分に摂り、静養することが大切です。
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度での風邪薬の勉強まとめでした。
実際の風邪薬選び、使用にあたっては、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
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