花粉症はどのような病気か調べてみた
花粉症とは
花粉症とは、スギなどの植物の花粉が原因となって生じるアレルギー疾患の総称であり、日本人の約30%が花粉症と推定されるとの報告があります(2008年の調査)。花粉症の症状としては、主にくしゃみや鼻水などのアレルギー性鼻炎の症状、目のかゆみなどのアレルギー性結膜炎の症状があります。
花粉症が起こる仕組みについてみてみよう
アレルギーとは、生体の防御機構である免疫反応が特定の異物(抗原)に対して過剰に起きた状態とその症状を指します。花粉症における抗原は花粉です。花粉症が起こる仕組みについて、的確な花粉症の治療のために(第2版)の図(改変)を借りながらみていきます。
感作:花粉侵入に対する備え
花粉症の患者では、症状が出る以前に花粉が体内に入り、免疫細胞が特異的に反応する抗体を作っています。この花粉が再び体内に入るとアレルギー反応が起こり、花粉症特有の症状がでます。このように、特定の抗原に対してアレルギー反応が起こる状態を感作といいます。
① 花粉が体内に侵入する
② マクロファージが異物と認識する
③ 異物情報がT細胞(Th2細胞)へ伝えられる
④ 異物情報がB細胞に伝えられ、侵入した花粉に特異的なIgE(抗体)を作る
⑤ IgEが肥満細胞に結合し、次の花粉侵入に備える
⑥ 再び花粉が侵入
アレルギー反応:即時性反応と遅発性反応
花粉によるアレルギー反応には、花粉侵入後数分~数十分で現れる即時相反応、数時間後(6~10時間後)に現れる遅発性反応があります。症状としては、即時相反応では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、即時相反応では鼻づまりが現れます。
① 再び花粉が侵入
② 肥満細胞上のIgEに花粉が結合する(抗原抗体反応)
③ 肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出される
④ ヒスタミンがくしゃみ、鼻水を引き起こす
⑤ ロイコトリエンが鼻づまりを引き起こす
⑥ Th2細胞がアレルギー誘発物質を放出し、主に好酸球を刺激する
⑦ 活性化された好酸球がロイコトリエンを放出し、鼻づまりを引き起こす
花粉症に関するあれこれ
花粉症(季節性アレルギー鼻炎)と通年性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎では主な抗原が花粉であり、毎年同じ花粉の時期に症状が現れます。一方、通年性アレルギー性鼻炎の抗原にはハウスダスト、ダニやカビやなどであり、季節に関係なく年間を通じて症状が現れます。
花粉症と風邪の見分け方(例)
スギ花粉の飛散が始まる2月はまだ風邪のシーズンでもあります。下記は、花粉症と風邪の見分け方のほんの一例です。
・ 鼻水:花粉症の鼻水は透明で水様性、風邪の鼻水は粘性がある
・ 他症状:花粉症では目のかゆみを伴うことが多い。風邪では発熱や喉の痛みなどを伴う。
・ モーニングアタック:花粉症では朝方に症状が強く出ることがある。
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度での花粉症の勉強まとめでした。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
花粉症はどのような病気か調べてみた