市販の花粉症のくすり(OTC鼻炎薬)について調べてみた
花粉症とは
花粉症とは、スギなどの植物の花粉が原因となって生じるアレルギー疾患の総称であり、日本人の約30%が花粉症と推定されるとの報告があります。花粉症の症状としては、主にくしゃみや鼻水などのアレルギー性鼻炎の症状、目のかゆみなどのアレルギー性結膜炎の症状があります。ここでは、鼻炎症状に対する薬(鼻炎薬)についてみていきます。
OTC鼻炎薬に含まれる成分
花粉症の鼻炎症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが3大症状であり、鼻炎薬には諸症状を抑える目的で主に下表の成分が用いられています。なお、ステロイドは鼻噴霧剤に用いられ、経口剤には配合されません。
分類 | 成分例 | 作用・特徴 |
---|---|---|
抗アレルギー成分 | フェキソフェナジン塩酸塩 | 眠気、口の渇きが生じにくい |
抗ヒスタミン成分 | クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 鎮静作用に伴う副作用に注意が必要 |
抗コリン成分 | ヨウ化イソプロパミド | 副交感神経を遮断し、鼻水に効く |
血管収縮成分 | ナファゾリン塩酸塩 | α-アドレナリン受容体に作用 |
ステロイド | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル | 強力な抗炎症作用を有する |
これらの成分がどのように作用するのか、的確な花粉症の治療のために(第2版)の図(改変)を借りて考えてみます。抗ヒスタミン成分(第一世代抗ヒスタミン薬)と抗アレルギー成分(第2世代抗ヒスタミン薬)では作用が少々異なることが見て取れます。
抗ヒスタミン薬 ~ 第1世代と第2世代
抗ヒスタミン薬の特徴について簡単に触れておきます。
第1世代抗ヒスタミン薬
1983年以前に発売された抗ヒスタミン薬。脳内移行率が高く、眠気やインペアード・パフォーマンスが現れやすい。また、抗コリン作用により、口の渇きを覚えやすい特徴がある。
第2世代抗ヒスタミン薬
1983年以降に発売された抗ヒスタミン薬。第1世代抗ヒスタミン薬と比べて、眠気などの中枢抑制作用や口の渇きの副作用が少ない。効果発現は第1世代よりも遅いが、ケミ借りメディエーター遊離抑制作用があることにより、鼻閉を含む全般的な効果は良好である。
OTC鼻炎薬にはどのようなものがあるのか
市販されているOTC鼻炎薬は、下表に示すように、第1世代抗ヒスタミン薬を含めた複数の成分からなる製剤と、抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン)の単味製剤が中心です。
主なOTC鼻炎薬 | 抗ヒスタミン成分 | 抗コリン成分 | 血管収縮成分 | 生薬、他 | |
---|---|---|---|---|---|
第 一 世 代 |
アネトン アルメディ鼻炎錠 | クロルフェニラミンマレイン酸塩 | —– | プソイドエフェドリン塩酸塩 | サイシン(鼻づまりを改善) |
ストナリニS | マレイン酸クロルフェニラミン | ダツラエキス | 塩酸フェニレフリン | —– | |
プレコール 持続性鼻炎カプセル | クロルフェニラミンマレイン酸塩 | ベラドンナ総アルカロイド | 塩酸プソイドエフェドリン フェニレフリン塩酸塩 |
グリチルリチン酸(抗炎症作用) | |
パブロン鼻炎カプセルSα | マレイン酸カルビノキサミン | ベラドンナ総アルカロイド | 塩酸プソイドエフェドリン | 無水カフェイン(頭重感を緩和) | |
第 二 世 代 |
アレグラ | フェキソフェナジン塩酸塩 | —– | —– | —– |
アレジオン | エピナスチン塩酸塩 | —– | —– | —– | |
コンタック鼻炎Z | セチリジン塩酸塩 | —– | —– | —– | |
アルガード鼻炎内服薬ZII | メキタジン | ベラドンナ総アルカロイド | 塩酸プソイドエフェドリン dl-メチルエフェドリン塩酸塩 |
グリチルリチン酸ニカリウム(抗炎症作用) |
OTC鼻炎薬の選び方例
鼻水などで困っていて早く止めたい → 上表の第1世代に示すような鼻炎薬
花粉の飛散開始と同時に治療を始める → アレグラやアレジオンのような第2世代薬
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度での花粉症のくすりの勉強まとめでした。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
市販の花粉症のくすり(OTC鼻炎薬)について調べてみた