二日酔いに対する効果が期待されるOTC医薬品などについて調べてみた
二日酔いとは
二日酔いとは、代謝能力を上回るアルコールを摂取した結果、アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドが体内に残り、吐き気や頭痛などの症状を生じた状態のこと。
摂取されたアルコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに代謝され、その後、アセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸となります。アセトアルデヒド脱水素酵素は、人種間や個人間で代謝能力に差があり、アジア人よりも欧米人で代謝能力が高いといわれます。
二日酔いの症状としては他に、アルコールの刺激により胃酸分泌が促進され、胃酸と胃粘液のバランスが崩れ、胃のむかつきや胸やけなどの症状を生じます。お酒のつまみに脂っこい料理などを多く食べると胃の機能が低下し、胃もたれが起こることがあります。また、アルコールの利尿作用により体内の水分が排出され、喉の渇きを覚えることがあります。
二日酔い対する効果が期待されるOTC医薬品など
医薬品などを使用する前に、まず失われた水分を補給する必要があります。水分補給に際しては、カフェインのように利尿作用のある成分を含む飲み物(お茶など)を避け、また、胃の負担となるような飲食物の摂取も控えた方がよいと思います。
効能効果の一部に二日酔いと記載があるOTC医薬品として、サクロン、液キャベコーワG、ソルマックプラス、ハイチオールCプラスなどがあります。一方、二日酔いに効くように思わせるテレビCMが印象的でありながら、二日酔いの効能効果がない医薬品等として、ヘパリーゼやウコンの力(清涼飲料水)などがあります。レバウルソゴールドには二日酔いの効能効果の記載がありませんが、効果が期待できると考え、表に加えました。
医薬品等 | 健胃 | 制酸 | 粘膜修復 | 鎮痛 | 胃運動促進 | 肝機能改善 | 胆汁分泌 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
サクロン | ○ | ○ | ○ | |||||
液キャベコーワG | ○ | ○ | ○ | 整腸成分 | ||||
ソルマックプラス | ○ | ○ | ○ | ウコン | ||||
ハイチオールCプラス | L-システイン | |||||||
ヘパリーゼ プラスⅡ | 肝臓水解物 | |||||||
ウコンの力 | ウコン | |||||||
レバウルソゴールド | 肝臓水解物 | ウルソデオキシコール酸 | L-システイン |
注:ウコンの作用として、「胆汁の分泌を促す作用」とソルマックの公式サイトに説明があるため、表中に記載を入れた。
これらの成分を大別すると、健胃成分などの胃に対する作用を持つ成分、肝機能改善成分、そしてアセトアルデヒドの解毒作用のある成分(L-システイン)になるかと思います。ここで、二日酔い対策として配合されていると考えられる個々の成分のうち、二日酔いそのものに対する効果が期待できると思われる(または期待できると言われている)成分についてみてみます。
肝臓水解物
アミノ酸やミネラルを多く含み、肝機能の改善に寄与する。肝臓水解物配合剤が医療用医薬品として承認されている(プロヘパール)。一方、肝機能改善の作用はエビデンスが不十分との情報もある(WebMD)。なお、アセトアルデヒドの代謝を促進するとの報告があるが、ラットの実験の結果であり、PubMedの検索でヒット数が限られることからエビデンスは低いと思われる。
ウルソデオキシコール酸
医療用に用いる肝・胆・消化機能改善剤として承認されている(ウルソ錠)。胆汁分泌を促進する作用(利胆作用)による胆汁うっ滞の改善の他、肝機能の改善はサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用や肝臓への炎症細胞浸潤抑制作用による(田辺三菱製薬)。海外でも日本と同様の効能効果で医薬品として使用されている(WebMD)。[個人メモ]「栄養補給に効果(レバウルソゴールドの添付文書)」については、根拠を調査中。
L-システイン
アセトアルデヒドと直接反応して無毒化したり、アルコールを無害な物質に変える酵素の働きを助ける(エスエス製薬)。L-システイン製剤は、湿疹、蕁麻疹などの効能効果で医療用医薬品として承認されている(ハイチオール錠)。
ウコン
俗に、肝臓によい、肝機能を高めると言われるが、信頼できるデータは十分にない(国立健康・栄養研究所)。海外でも、肝臓や胆嚢に対する作用についてはエビデンスが不十分(WebMD)とされている。ウコンについては様々な疾患に対する応用が研究されており、その中でも、高コレステロール血症、変形性関節症、掻痒症に対しては効果が期待されている(WebMD)。
オルニチン
肝臓において、有害なアンモニアを無毒化するオルニチン回路に必要な物質。食物中の蛋白質などが腸内細菌によって分解されるとアンモニアが生産される。オルニチンが血中アンモニア濃度を減少した報告はあるが、ほとんどが静注での結果であり、経口摂取での作用としてはエビデンスが少ない(Examine.com)。また、エビデンスが少ないが、二日酔い症状の軽減に対する効果も示唆されている(Examine.com)。
私なら二日酔い対策にどの商品を選ぶか
正直な話、表に示したいずれの製品も服用したことなく実経験がありません。そこで、これまでみてきた情報を基に考えると、私なら、肝臓水解物、ウルソデオキシコール酸、L-システイン、オルニチンを含む製品を選びます。表中の成分から選ぶとすれば、二日酔いの効能効果の記載がありませんが、レバウルソゴールドかな。
お断り
毎度のことですが、限られた時間で調べた限られた情報に基づくまとめであり、この限られた情報をベースに考えた個人の感想であるとご理解ください。実際の選択に際しては、薬剤師等の専門家にご相談くださいませ。
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度での「二日酔いに対する効果が期待されるOTC医薬品などについて調べてみた」でした。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
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