ニキビ治療薬について調べてみた
ニキビとは
ニキビとは、思春期から青年期にかけてよくみられる慢性の毛包の炎症性疾患であり、正式には「尋常性ざ瘡」という病名があります。ニキビそのものは、ざ瘡(ざそう)や面皰(めんぽう)と書かれれることもあります。また、大人になると吹き出物と呼ばれることもあります(ニキビと吹き出物は同じく、尋常性ざ瘡の通称です)。ニキビは、主に前額部(おでこ)、頬、口の周り、下顎など皮脂分泌量の多い皮膚にできる発疹ですが、胸や背中にできることもあります。
ニキビの発症には、脂質代謝異常(内分泌的因子)、角化異常、細菌の増殖が複雑に関与しているとされます。思春期になると、皮脂腺において男性ホルモンの感受性が亢進し、皮脂分泌を高めます。角化異常によって皮脂が排泄できずに貯留すると、皮膚常在菌であるいわゆるアクネ菌(Propionibacterium acnes)などの細菌が過剰増殖し、炎症が生じて発疹ができると考えられています。
ニキビは、面皰という毛包に角質や皮脂が詰まった皮疹から始まり、進行して炎症を起こしたニキビまで下の3種類(3段階)に分けることができます。(図:Acne photofacial treatmentsから)
白ニキビ(白色面皰)
ニキビの最初の段階です。毛穴に皮脂が詰まりますが、ニキビが薄い皮膜で覆われ表面が閉じており(毛孔が閉じており)、皮脂を排出できない状態です。発疹が白~乳白色に見えます。
黒ニキビ(黒色面皰)
白ニキビが少し進行すると、皮脂が盛り上がって穴があく、つまりニキビの被膜が開きます(毛孔が開きます)。黒ニキビは、内容物が酸化して黒く変色してみえる状態です。
赤ニキビ(紅色丘疹)
黒ニキビが進行し、悪化したもの。毛穴に詰まった皮脂に雑菌や細菌が繁殖し、炎症を起こしてニキビ患部の周りが赤く腫れあがった状態です。
さらに悪化すると、膿を持った膿疱となり、重症化すると膿の袋となった嚢腫や固く盛り上がる硬結となります。
ニキビの治療
尋常性痤瘡治療ガイドライン2016(日本皮膚科学会)では、治療期を「急性炎症期(患部は紅色丘疹と膿疱が主体であり面皰を伴う)」および「維持期(炎症性皮疹が軽快した後の時期のこと。面皰を主体とし、軽微な炎症を伴うことがある)」の2つに大きく分け、治療アルゴリズム(治療方針)を示しています。
急性炎症期の治療
基本的に、外用薬が治療の中心となります。重症例では内服抗菌薬(または外用抗菌薬)と外用薬の併用(内服抗菌薬と外用抗菌薬との併用は避ける)など、中等症以下では外用抗菌薬と外用薬の併用などの投与を最大3ヵ月間行います。内服抗菌薬としては、にきびの炎症にはアクネ菌が関与していること、さらに抗炎症効果も期待してテトラサイクリン系やマクロライド系抗菌薬が処方されることが多い。(注:これらの抗菌薬は、抗菌作用の他、抗炎症作用も有することが分かってきました)
外用薬として用いられるのは、外用抗菌薬としてはクリンダマイシン、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの配合剤(デュアック配合ゲル)抗菌薬以外の外用薬としては、殺菌作用を有するアダパレン(ディフェリンゲル0.1%)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル2.5%)の投与が推奨されています。
維持期の治療
外用薬として、殺菌作用を有するアダパレンや過酸化ベンゾイルの投与が推奨されています。
ニキビの治療
ニキビの効能効果を有する主なOTCニキビ治療薬(外用薬)とその成分、各成分の働きを下の表にまとめました。殺菌成分と抗炎成分が主体です。トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)の作用については、2剤の添付文書での説明が異なりました。なお、今回、内服薬については紙面(A4 1枚)の都合上、触れません。
OTCニキビ外用薬 | 有効成分 |
---|---|
クレアラシル | イオウ、レゾルシン、グリチルリチン酸二カリウム、トコフェロール酢酸エステル |
メンソレータム アクネス ニキビ治療薬 | イオウ、レゾルシン、グリチルリチン酸二カリウム、トコフェロール酢酸エステル |
ビフナイトn | イオウ、グリチルリチン酸二カリウム、イソプロピルメチルフェノール |
ペアアクネクリームW | イブプロフェンピコノール、イソプロピルメチルフェノール |
アクネス25 メディカルクリームC | イブプロフェンピコノール、イソプロピルメチルフェノール |
イハダ アクネキュアクリーム | イブプロフェンピコノール、イソプロピルメチルフェノール |
アクネス25 メディカルローションb | イソプロピルメチルフェノール、アラントイン、サリチル酸 |
オロナインH軟膏 | グルコン酸クロルヘキシジン |
分類 | 有効成分 | 作用 |
---|---|---|
抗炎症成分 | グリチルリチン酸二カリウム、イブプロフェンピコノール、アラントイン | 炎症(腫れや赤み)を抑える |
殺菌成分 | イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、グルコン酸クロルヘキシジン | 原因菌(アクネ菌)を殺菌する |
角質軟化成分 | イオウ、サリチル酸 | 肥厚化した角質を軟化する |
トコフェロール酢酸エステル | 過酸化脂質の増加を防ぐ/血行を促進して治りを早める |
OTCニキビの薬についてネットで調べていると、テラ・コートリル軟膏aを推薦しているサイトがありました。テラ・コートリルは効能効果にニキビがありませんが、配合している抗菌薬(オキシテトラサイクリン塩酸塩;テトラサイクリン系抗菌薬)が海外でニキビ治療に用いられている(skin infections such as acne)ことを受けてのことか想像。使用の際は、長期連用するとアクネ菌が耐性を獲得する恐れがあるので、注意が必要です。
さいごに
以上、A4サイズに治まる程度でのニキビ治療薬の勉強まとめでした。
実際にOTCニキビ治療薬を選ぶ時、使用にあたっては、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
A4版は下のリンクから。PDFファイルが開きます。
ニキビ治療薬について調べてみた