くすりに関する配信ニュースを読む

2011年10月~の配信記事から

製薬業界の海外配信ニュースを中心として管理人が学んだこと、感じたことなどまとめたものです。(ニュースの翻訳ではないです)

[第19回] 2011.10.3の週の配信情報1
難治性乳癌に対する低リスク併用療法の可能性

アントラサイクリン系抗癌剤を使用しない難治性乳癌治療は使用した場合と同等の効果を示し、かつ心疾患のリスクが低いことが10/6付New England Journal of Medicineに発表される。難治性乳癌患者3,222例はACT群(アドリアマイシン、カルボプラチン、タキソテール)、ACTH群(ACT、ハーセプチン1年間)、TCH群(タキソテール、カルボプラチン、ハーセプチン1年間)のいずれかの投与を受けた。5年無病生存率及び全生存期間は、ACT群、ACTH群、TCH群でそれぞれ75%、84%、81%及び87%、92%、91%であった。一方、うっ血性心不全はACTH群の21例に対してTCH群では4例だった。

この結果はアントラサイクリン系抗癌剤の心毒性を考慮せずに治療できることを示唆するが、別の研究者はハーセプチンも心疾患を誘引することがあり、TCHは標準治療の一つではあるが、TCHだけが標準治療ではないと警鐘を鳴らしている。

情報源:Drug Combo Might Fight Aggressive Breast Cancer More Safely

[第20回] 2011.10.10の週の配信情報1
BMSのYervoyは、NHSで使用する推奨が得られなかった

英国NICEは、進行悪性黒色腫治療薬Yervoy(BMS)のNHSでの使用を推奨しないと発表した。Yervoyの薬剤費は、1投与(1コース)20,000ポンド(US$31,550)を通常4コース受けるため、患者1人あたり80,000ポンド(US$126,000)が必要だが、NICEはコストに見合う長期的効果が得られるかどうかが不明であるとしている。NICEは、NHSが支払うコストを正当化するために、Yervoyが十分な効果があることを確認する必要があるとしている。

参考:NHS:National Health Serviceは、英国が採用している医療費原則無料の国営医療保険制度です。なお、治療を受けるまでに何ヶ月も待つ場合があるとのことです。

情報源:UK cost agency rejects Bristol-Myers' skin cancer drug

[第21回] 2011.10.10の週の配信情報2
膵癌の検査は唾液から?

予備段階の試験結果ではあるが、口腔内のバクテリアの変化が膵癌のサインである可能性があることする研究結果が発表された。ヒトの唾液中にある特定のバクテリア(Neisseria elongata, Streptococcus mitis)は健常人と比べて癌患者で少ない。このバクテリア量の変化が膵癌によるものか、そうだとしても膵癌発現時変化を認めるかなどの課題は多い。研究者は、研究は初期段階にあり、膵癌を解明する手掛かりになりうるとしている。また、膵癌は発見されたときには進行していることが多く、予後が悪い。早期発見する方策が望まれており、この研究がその一助になるかもしれないとしている。 

情報源:Oral Bacteria Might Signal Early Pancreatic Cancer

[第22回] 2011.10.17の週の配信情報1
TEVAのAzilectはFDAパネルの推奨を得られなかった

FDAアドバイザリーパネルは、Azilect(TEVA)はパーキンソン病の進行を遅らせる十分な効果がないと判断した。Azilectは、米国でパーキンソン病の症状改善の適応で承認されているが、この承認に対する影響はない。

アドバイザリーパネルの何人か医師は、Azliectが進行を遅らせる効果を有する可能性を効果示唆する臨床試験結果があるものの十分ではないと話した。FDAはアドバイザリーパネルの決定に従うことが多いが、強制されるものではない。

情報源:FDA Panel: Teva Parkinson's Drug Doesn't Slow Disease

[第23回] 2011.10.24の週の配信情報1
ダイエットは体重の減少よりも維持が重要

ダイエットに成功しながら後日体重増加することにはホルモンの関与が考えられる。Optifast(Nestle SA )と2皿の野菜を10週間続けた50例において1年後に10%の体重減少を認めた。一方、食欲を調整するホルモンであるレプチンとグレリンは1年後も多くの食餌を摂取するよう信号を出していた。

ダイエットは減量よりも体重維持の過程が重要であると専門家は述べている。

情報源:Dieting Spurred by Hormone Changes That Exist for a Year

[第24回] 2011.10.24の週の配信情報2
糖尿病患者はB型肝炎ウイルスの予防摂取を受けるべき

米国国立感染症研究所感染症情報センター(ACIP)は、ワクチン未接種の60歳未満の糖尿病患者に対するB型肝炎ウイルスのワクチン接種を推奨した(投票結果:12対2)。60歳未満の糖尿病患者では、非糖尿病患者に対して2倍以上のB型肝炎ウイルス感染のリスクがある。一方、60歳以上では感染リスクの優位な増加を認めていない。

CDCでは、1991年から子ども及び青年層に対するB型肝炎ウイルスワクチンの接種を推奨している。この推奨の対象には、感染リスクのある成人(肝臓や腎臓の慢性疾患を有する患者、男性同性愛者、複数の人と性行為を行う者、ヒトの血液を扱う仕事従事者)を含んでいた。今回は、この推奨の対象を広げ、60歳未満の糖尿病患者を含めるものである。

情報源:US advisers recommend diabetics get Hep B vaccine

 くすりの勉強について

周囲の親しい複数の知人たちが様々な病気を患っています。知人たちの病気を治す治療薬について情報を得たいと考え、細々と勉強を始めました。このため、私の勉強の中心は現在汎用されている薬に加え、臨床試験段階にある薬が中心です。

くすりに関する専門家向けまたは一般向けの情報は下記の類の本に委ね、私はネット経由で日々発信される最新情報を求めていきます。

今日の治療薬2012

くすりの事典―病院からもらった薬がよくわかる〈2012年版〉

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