くすりに関する配信ニュースを読む

2012年8月~の配信記事から

製薬業界の海外配信ニュースを中心として管理人が学んだこと、感じたことなど不定期にまとめたものです。(ニュースの翻訳ではないです)

認知症は全米第2位の死因か [2012/8/1管理人記載]

認知症による死亡は、CDC発表では死亡の3%ですが、研究者によれば13%にも及びます。米国ではWHOの指導に従い死因を一つ特定しますが、高齢者は複数の慢性疾患を患うことが多く、死因を一つに特定することは必ずしも妥当ではありません。研究者たちがMedicareへの22,890の申請について41ヵ月にわたり調査したところ、2,245例の死亡が確認され、その2/3が80歳以上でした。死因については、心不全の20%に続き、認知症が13%との結果が得られました。ただし、研究者たちは公式死亡診断書を参照できないため、実際の死因との確認はできていません。

情報源:Death certificates may not tell the whole story

ホルモン剤併用で生存期間延長 [2012/8/2管理人記載]

閉経後ホルモン受容体陽性乳癌患者707例を対象として、anastrozoleとfulvestrantの併用とホルモン剤の標準治療(anastrozoleを最初に投与し、病勢進行後にfulvestranに変更)を比較したところ、生存期間は標準治療群で41.3ヵ月、併用群で47.7ヵ月となり、併用療法が生存期間を約6ヵ月間延長しました。

情報源:Changing Drug Regimen Boosts Survival in Metastatic Breast Cancer

ジェネリックで10年間に1兆ドルの節約 [2012/8/3管理人記載]

ジェネリック医薬品の使用により、過去10年間に1兆ドルの経費削減になったと報告がありました。[管理人の独り言]ブロックバスターが特許切れとともにジェネリックに大きく置き換わりますが、それでも米国の医療費は増え続けています。新薬の価格が高く、その新薬を多く使用しているためですが、日本もジェネリックの使用が増えても医療費削減への大きな寄与は期待できませんね。

情報源:Generics saved $1 trillion over last 10 years, study finds

SingulairのジェネリックがFDAに承認された [2012/8/6管理人記載]

情報源:U.S. FDA approves generic versions of Merck's Singulair

PfizerがAZ NexiumのOTC販売権利を購入 [2012/8/14管理人記載]

PfizerがAZのNexiumのOTC製剤の販売権利を前金US$ 250 million(およびマイルストーン費用、使用料)で手にしました。 [管理人ひとりごと:こんなことあるんですね~。驚きました。AZは処方薬に特化しているからでしょうが...]

情報源:Pfizer To Buy OTC Rights to Nexium for $250 Million up Front; Cuts View

Tofacitinibが潰瘍性大腸炎に有効 [2012/8/16管理人記載]

中等度から重度の潰瘍性大腸炎患者194例にtofacitinib(Pfizer:関節リウマチの適応で開発先行)を投与した第U相試験において、最高用量を服用した78%の患者で疼痛や出血症状を緩和したことがNew England Journal of Medicineに発表されました。潰瘍性大腸炎の治療にはRemicade(J&J)やHumira(Abbott)が用いられますが、半数の患者で効果が認められません。Tofacitinibは、RemicadeやHumiraとは作用機序が異なります。また、tofacitinibは錠剤なのでRemicadeやHumiraのように注射による負担もありません。Tofacitinibの主な副作用としてはインフルエンザや風邪症状が報告されています。

情報源:Pfizer’s Experimental Drug Works in Ulcerative Colitis

関連情報:FDA extends action date for Pfizer’s tofacitinib NDA review

専門薬局が癌治療に寄与 [2012/8/16管理人記載]

癌治療専門薬局(Specialty Pharmacy Program for Oral Oncology Medications)と一般の薬局に通う癌患者各464例における治療の質と要した費用をレトロスペクティブに比較検討した結果が発表されました。両薬局の患者はマッチする患者を選択しています。検討の結果、癌治療専門薬局の方が服薬を遵守して治療の質が高く、また来院回数減少等により費用軽減も図れたことが確認されました。

情報源:Outcomes of a Specialty Pharmacy Program for Oral Oncology Medications

団塊の世代はHCV検査を受けて [2012/8/17管理人記載]

米国の団塊の世代は全人口の27%ですが、HCV感染患者の75%が団塊の世代となっており、CDCは検査を受けるよう呼びかけています。CDCによれば、1965年に人口10万人当たり18人のHCV感染が1980年代には10万人当たり130人と急増しています。

情報源:CDC makes it official: Boomers should test for Hep. C

希少疾患の市場が伸びている [2012/8/24管理人記載]

希少疾患は、患者数が少なく製薬メーカーの投資対象とされにくいですが、1つの医薬品のライフタイムを考えると製薬メーカーにとって損とは言えないようです。希少疾患の治療薬には規制上の優遇に加え、バイオ医薬品であれば後発医薬品の開発が困難であること、患者定義が明確であることから臨床試験を実施しやすいことが挙げられます。患者数が少ないことは患者登録が難しいと考えがちですが、患者定義が明確ですし、患者数が少ないので試験期間が短くなります。その上、承認までの期間が短い。Lipitorは製品のライフタイムで$197 billionを売り上げるブロックバスターですが、希少疾患を適応症に含むRituxanは4150 billion以上の売り上げが見込まれます。希少疾患薬の開発はチャレンジではありますが、上記のような利点もあるのです。

情報源:Rare diseases worth the investment, study says

抗癌剤の選択するには [2012/8/24管理人記載]

抗癌剤の開発は分子標的薬が主流となり、癌腫によっては治癒率の著しい改善が認められています。分子標的により患者の癌腫に合う抗癌剤を選択できるようになりましたが、その抗癌剤の選択と費用が大きな課題です。この課題に取り組むため、抗癌剤の効果を高め、治療費と癌患者の減少を図る研究会設立の動きがあります。この研究会では、NCIのデータベースを利用して、医療従事者に治療選択肢とともに治療結果について情報提供するものです。また、治療費については医療経済学的な検討がなされている医薬品もありますが、製薬メーカーは短期的な収益への関心が強く、医療経済について十分な検討がなされていません。癌が縮小しただけでなく、生存期間をどの程度延長したのか、既存薬よりもどのくらいすぐれているかが当局や保険から尋ねられます。抗癌剤は複数薬剤の併用治療が多く、大企業でもすべての組み合わせの情報を収集することは困難です。研究会は、この情報の提供を目的としています。

情報源:How Do Oncologists Sort Through All the New Anticancer Drugs?

PfizerとMylanが日本の後発医薬品市場に参入 [2012/8/26管理人記載]

PfizerとMylanが日本の後発医薬品市場に参入します。日本の後発医薬品市場は世界第6位の規模があり、$5.2 billionに相当します。後発医薬品の占める割合は、24%から2012年後半には30%に増加するとされています。

情報源:Pfizer and Mylan to market generic drugs in Japan

 くすりの勉強について

周囲の親しい複数の知人たちが様々な病気を患っています。知人たちの病気を治す治療薬について情報を得たいと考え、細々と勉強を始めました。このため、私の勉強の中心は現在汎用されている薬に加え、臨床試験段階にある薬が中心です。

くすりに関する専門家向けまたは一般向けの情報は下記の類の本に委ね、私はネット経由で日々発信される最新情報を求めていきます。

今日の治療薬2012

くすりの事典―病院からもらった薬がよくわかる〈2012年版〉

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