くすりに関する配信ニュースを読む

2012年11月~の配信記事から

製薬業界の海外配信ニュースを中心として管理人が学んだこと、感じたことなど不定期にまとめたものです。(ニュースの翻訳ではないです)

cabozantinibが髄様甲状腺癌の適応で承認 [2012/11/30管理人記載]

cabozantinibが髄様甲状腺癌の適応でFDAに承認されました。Exelixis Inc.の最初の承認薬です。第3相試験において、cabozantinib投与例のPFSは11.2ヵ月、プラセボ投与例は4ヵ月でした。cabozantinibはMETおよびVEGF阻害剤で、甲状腺癌の他、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、非小細胞肺癌の適用取得を目指しています。

情報源:Exelixis’s Thyroid Cancer Treatment Gains U.S. Approval

ペーパーの論文は健在 [2012/11/27管理人記載]

パブリケーション3団体の調査によると、iPadが普及した現在でもペーパー(紙)の論文が医師に必要とされています。若い医師は電子論文のアクセス権を有しながら、先輩医師と同じくペーパーの論文を必要としています。調査対象の50%の医師はペーパーでのみ論文を読み、反対にペーパーで論文を読まない医師は8%でした。また、タブレットを所持する医師の96%がペーパーベースで論文を読んでいました。

情報源:Print: Still not dead

栄養ドリンクで健康被害 [2012/11/19管理人記載]

FDAは、栄養ドリンクの5-Hour Energyとの関連が疑われる有害事象の追加情報を公表しました。公表によると、これまでに92例が体調不良を訴え、13例が死亡しています。一方、体調不良は栄養ドリンクに起因するものかどうかは明らかでないとし、FDAが調査を行います。

もしも栄養ドリンクによる有害事象だったとしても、なぜ体調不良を引き起こすのか明らかではありません。5-Hour Energyは215mgのカフェインを含みますが、スターバックスのグランデサイズのコーヒーよりも50mg少ないです。また、カフェインの推奨摂取量上限の400mgよりも少ないです。栄養ドリンクの大量摂取や他の添加物が原因である可能性もあります。

情報源:FDA links energy drinks to more illnesses, deaths

リキシセナチドが欧州医薬品庁諮問委員会から承認推奨 [2012/11/19管理人記載]

Sanofiの糖尿病治療薬Lyxumia(GLP-1アゴニスト)は欧州医薬品庁諮問委員会から承認推奨を得ました。

情報源:Sanofi Diabetes Treatment Lyxumia Wins EU Panel Recommendation

ジャヌビア合剤の開発中止 [2012/11/15管理人記載]

Merckは、ジャヌビア(DDP-4阻害薬)とatorvastatinの合剤(MK-0431E)の開発を中止すると発表しました。MK-0431E心血管障害のある糖尿病患者への治療薬として開発がすすめられていました。既に第V相試験を開始しており、2014年中の申請を目指していましたが、中止理由はビジネス上の理由と説明しています。Merckの合剤の開発中止はここ数か月間で2剤目になります。1剤目は、リポバス(海外:Zocor、一般名:シンバスタチン)の合剤でした。

情報源:Merck scraps combination diabetes drug

情報源:Merck Stops Development of Januvia & Lipitor Combination Drug

英国有力誌のBMJはタミフルは効果がないと訴えています [2012/11/15管理人記載]

BMJは、タミフルがインフルエンザに有効とするエビデンスが不十分として、ロシュにすべてのデータの開示を要求しました。BMJと関連のある研究者が欧州政府にロシュに対する訴訟を要求し、タミフルに関する未公開データを公表するまでロシュの医薬品を使用しないことを提案しました。この研究者は、各国がインフルエンザ対策で不必要に備蓄しているタミフルの購入品をロシュに返還させるべきだと訴えています。

2009年にBMJと研究者のタミフルのデータ開示を求めた際は、英国政府の認定機関の調査の結果としてタミフルがインフルエンザ合併症の減少効果がないことが明らかにされました、また、BMJ編集者は、タミフル試験の社内資料の公開を公衆に対して約束しながら、ロシュはは妨害していると先月号のeditorialに記しています。

これに対してロシュは、法的に情報公開を求められた情報をまとめた3200ページに及ぶ資料を研究者への回答として提示したと声明を出しています。また、法令および秘密保持の観点からも患者レベルの情報提供は通常行わないこと、研究者が秘密保持契約の締結を拒んでいることを伝えています。

情報源:British medical journal slams Roche on Tamiflu

Sanofiが大腸癌の新薬価格を半額に [2012/11/11管理人記載]

医療費のコスト意識が高まる中、Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの医師がSanofiの新薬Zaltrap(適応:転移性結腸直腸癌)を使用しないとThe New York Times紙上で論評した ところ、SanofiはZaltrapの価格を半額に引き下げました。引き下げるまでは月にUS$11,000の治療費が必要でしたが、ほぼ同等の効果であるAvastinの2倍でした。別の医師は治療選択は患者の経済状態を無視して決定できないことを新聞紙上に先月論評していました。

SanofiはZaltrapが必要な患者のためとコメントしていますが、一方では、価格設定の正当性を主張しています。また、Zoltrapの公式価格は変更していません。

情報源:Sanofi Blinks And Halves Price Of Cancer Med

薬剤師は患者ケアにもっと時間を割くことができる [2012/11/8管理人記載]

752人の薬剤師を対象とした調査の結果、5人に2人の薬剤師が2年前よりも多くの時間を患者ケアに割くことができると答えています。薬剤師は従来の役割に加え、デジタル機器を利用するなどして患者ケア提供の機会を増やしてきました。プライマリーケア提供者が患者要求を満たすことに苦労するなか、薬剤師は患者ケアの大きな役割を担うようになってきました。

薬局務めの薬剤師が患者ケアに務めている疾患は、調査結果では、糖尿病、心血管障害、疼痛、呼吸器疾患、精神性疾患となっています。また、調査結果は、オンライン患者教育資材の利用など製薬企業からのサポートを求めていることを示しています。

[注:日本の薬剤師が行っている在宅ケアと業務内容が完全に一致するかどうか調べきれなかったあめ、「患者ケア」という表現を用いました。下に貼り付けた情報を読む限り、大きく違うとは思いませんが]

情報源:Pharmacist care for patients has grown, study finds

参考情報:The Pharmacist’s Role in Patient Care

参考情報:The Pharmacist's Role on the Patient Care Team

別のPCSK9阻害剤の試験は18,000例を登録 [2012/11/8管理人記載]

Regeneron PharmaceuticalsとSanofiが共同開発しているREGN727/SAR236553(PCSK9阻害剤)の第V相試験で18,000例を登録したという記事を見つけました。AmgenのPCSK9阻害剤だけに話題を独占されないための発表でしょうか。

情報源:Regeneron, Sanofi Take Step Forward With Cholesterol Drug

参考情報:サノフィとRegeneron社、高コレステロール血症における抗PCSK9抗体の第II相プログラムで肯定的な先行結果を発表

PCSK9阻害剤はアトルバスタチンの効果を増大する [2012/11/6管理人記載]

SAR236553(PCSK9阻害剤)とアトルバスタチン(ATV)の併用がATV単剤よりも有意にLDL-Cを減少させた第2相試験結果がNEJMに発表されました(Atorvastatin with or without an Antibody to PCSK9 in Primary Hypercholesterolemia)。

この試験では、ATV 10mgを服用してもLDL-C値が100mg/dlを超える患者92例をATV 80mg + SAR236553、ATV 10mg 1+ SAR236553、ATV 80mgのいずれかに無作為に割り付け、投与期間を8週間としました。この間、SAR236553は2週間に1回投与しています

ベースラインと比べたLDL-Cの低下率は、ATV 80mg + SAR236553で73.2% + 3.5、ATV 10mg 1+ SAR236553で66.2% + 3.5、ATV 80mgでは17.3% + 3.5でした。また、17.3% + 3.5LDL-Cが100mg/dl未満に低下した患者の割合は、SAR236553投与例では100%、ATV単剤では52%でした。

情報源:PCSK9 Inhibitor Enhances Cholesterol-Lowering Effect Of Atorvastatin

関連情報:Amgen Bets on Heart Drug as Rivals Aim at Sales

ベバシズマブがプラチナ感受性再発卵巣癌の適応を取得(欧州) [2012/11/3管理人記載]

ベバシズマブは、プラチナ感受性再発卵巣癌の適応を欧州で取得しました。プラチナ感受性の初回再発卵巣癌に対して標準療法(カルボプラチン+ゲムシタビン)との併用投与です。なお、ベバシズマブの卵巣癌適応としては、進行卵巣癌のファーストライン治療として、標準療法(カルボプラチン+パクリタキセル)との併用療法が2011年に欧州で承認されています。

情報源:Roche's Avastin cleared in EU for recurrent ovarian cancer

関連情報:進行卵巣癌に対するファーストライン治療としてベバシズマブと標準療法の併用に欧州CHMPが肯定的見解

 くすりの勉強について

周囲の親しい複数の知人たちが様々な病気を患っています。知人たちの病気を治す治療薬について情報を得たいと考え、細々と勉強を始めました。このため、私の勉強の中心は現在汎用されている薬に加え、臨床試験段階にある薬が中心です。

くすりに関する専門家向けまたは一般向けの情報は下記の類の本に委ね、私はネット経由で日々発信される最新情報を求めていきます。

今日の治療薬2012

くすりの事典―病院からもらった薬がよくわかる〈2012年版〉

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