くすりに関する配信ニュースを読む

2012年11月~の配信記事から

製薬業界の海外配信ニュースを中心として管理人が学んだこと、感じたことなど不定期にまとめたものです。(ニュースの翻訳ではないです)

Crestorの特許は2016年まで有効 [2012/12/15管理人記載]

アメリカの連邦高等裁判所は、rosuvastatinに関する ジェネリックメーカーMylanとTevaの訴訟を棄却した。この決定により、crestorのジェネリックは2016年7月以降でなければ販売できない。

情報源:AstraZeneca Wins U.S. Ruling to Block Generic Crestor

高価な医薬品へのチェックが厳しくなった [2012/12/14管理人記載]

保険会社や医師など医療提供者は、医薬品を選ぶ際に安全性および有効性に加え、価格も重視するようになり、その傾向は加速度的に広がっている。今や保険会社の5社に4社は保険償還の対象となる医薬品について経費節約または十分な有効性があることを基本としている。例えば、ニューヨークのがんセンターは、月にUS$11,000もの費用がかから大腸癌治療薬Zaltrapを使用しないことを決めた。理由は、より安価なAvastinと比較して(費用増加に見合うだけの)生存期間延長効果が得られていないことに加え、副作用が多いことによる。製造・販売しているSanofiは価格を50%引き下げたが、このがんセンターは未だZaltrapを採用薬としていない。

情報源:More pressure to justify cost of cancer drugs versus benefits

tamoxifenは10年服用すべき [2012/12/7管理人記載]

tamoxifenの長期投与試験により、tamoxifenを10年間服用した患者の方が5年間で服用を止めた患者と比べて乳癌再発率や乳癌による癌死の比率が低いことが示されました。tamoxifenは慣習的に5年間の服用とされていますが、試験結果は、より長期間服用すべきであることを示しています。

この試験(Atlas試験)はtamoxifenの5年間投与を終了した36ヶ国7,000例のER陽性乳癌患者が参加し、半分はさらに5年間tamoxifenを継続投与し、残り半分はtamoxifen投与を中止しました。乳癌再発率は、10年間服用例で21.4%、5年間服用例で25.1%でした。また、乳癌による死亡率は、それぞれ12.2%および15%でした。

情報源:Bigger Role Seen for Breast Cancer Drug

抗肥満薬による腎障害、肝障害 [2012/12/12管理人記載]

ロードアイランド大学がNIHの協賛で実施した試験の結果は、抗肥満薬であるorlistat(商品名Xenical)およびOTCの Alliが重大な腎障害、肝障害など内臓疾患を生じる可能性があると警告した。また、orlistatの代謝過程において、抗癌剤を含む他剤の効果を減弱する恐れがあると報告した。さらに、orlistatはアスピリンの抗凝固作用を増大し、出血リスクを高める。

orlistatには、肝臓、腎臓および消化管において解毒作用を示す酵素CES2の働きを抑制するため、重大な内臓疾患を誘因すると考えられている。(結果は公表されている)

FDAは2010年にXenicalおよびAliiが肝障害を生じる可能性について公表しているが「まれ(rare reports)」としている。

情報源:Popular Weight Loss Drug May Cause Permanent Liver and Kidney Damage

Diovanのジェネリック医薬品が発売されない [2012/12/10管理人記載]

高血圧症治療薬Diovanの特許が9月に切れてから3ヵ月近くにもなりますが、Diovanのジェネリック医薬品がまだ発売されていません。これは、Diovan特許切れから6ヵ月間のジェネリック独占販売権を有するジェネリック薬品会社Ranbaxyに対して、FDAがに承認を与えていないためです。

この状況に対し、別のジェネリック薬品会社MylanがRanbaxyの独占販売権の取り消しを求めて提訴しました。MylanはDiovanと利尿剤との合剤について、9月からの独占販売権を得ています。

Ranbaxyについては、ガラス混入で40ロット以上のLipitorのジェネリックを先月リコールしています。FDAは、Diovanのジェネリックを承認していない理由の説明を拒否しています。また、Mylanの訴訟に対するコメントも拒否しています。

情報源:Lawsuit Challenges Ranbaxy’s Rights to Generic Drug

HalavenはXelodaに対する優位性を示すことができなかった [2012/12/10管理人記載]

エーザイのHalavenは、転移乳癌患者を対象とした試験でロシュのXelodaに対して優位性を示すことができませんでした。

情報源:Eisai’s Breast Cancer Drug Failed to Show Advantage Over Xeloda

GLP-1製剤の肥満に対する効果は疑わしい [2012/12/6管理人記載]

GSKは、自社開発品のalbiglutideおよびNovoの2型糖尿病治療薬Victozaが有効性が不十分を理由に肥満治療の適応を取得することは難しいだろうと考えています。Novoは、Victoza投与例で3.9kg、プラセボ投与例で2.9kgの体重減少の試験結果を本年6月に公表しています。

情報源:Glaxo Doubts GLP-1s Would Be Cleared as Drugs for Obesity

アスピリンのコーティング剤は効果減弱か? [2012/12/6管理人記載]

アスピリンに心発作や脳卒中予防効果があるとされるが、コーティング剤はその効果を妨げ、結果としてより高価な薬剤の処方につながっているとする研究発表がCirculation誌に掲載されました。

過去10年間、循環器内科医や研究者たちは、5~40%の人はアスピリンに耐性があると考えてきました。一方、一部の著名な医師たちは、この数字がアスピリンを販売する会社によって誇張されてきたとしています。

ペンシルバニア大の研究では、400例の健常人にアスピリン耐性が見つからず、アスピリンの体内への吸収をコーティング剤が妨げていることを示唆しました。また、コーティング剤が非コーティンよりも胃粘膜を保護する根拠がないとの主張もしています。

[管理人]この研究は健常人を対象としており、様々な薬を服用している患者に当てはまらないとするなど議論はつきないようで...。

情報源:Study Raises Questions on Coating of Aspirin

BMSはavagacestatの開発を断念 [2012/12/5管理人記載]

BMSは、avagacestatの開発を中止すると発表しました。avagacestatは、アルツハイマー治療薬として開発を進めていましたが、第2相試験において次相に進むために期待する効果が得られませんでした。

情報源:Bristol-Myers Drops Alzheimer’s Drug on Little Benefit

Pfizerはプライマリーケア領域のMRを人員削減 [2012/12/4管理人記載]

Pfizerは、プライマリーケア領域のMR 3,000の10~20%を削減する計画をしています。Lipitorの特許切れに伴い、売上が減少していました。Pfizerは2005年以降50,000人の人員削減をしており、2011年末時点における従業員数は103,000人でした。人員削減は、AstraZeneca、Abbott、 Bristol-Myers Squibb、Novaritisでも年内に実施され予定です。

情報源:Pfizer to Shrink US Sales Force, Cites 'Future Needs' of Business

情報源:Pfizer And The Incredible Shrinking Sales Force

 くすりの勉強について

周囲の親しい複数の知人たちが様々な病気を患っています。知人たちの病気を治す治療薬について情報を得たいと考え、細々と勉強を始めました。このため、私の勉強の中心は現在汎用されている薬に加え、臨床試験段階にある薬が中心です。

くすりに関する専門家向けまたは一般向けの情報は下記の類の本に委ね、私はネット経由で日々発信される最新情報を求めていきます。

今日の治療薬2012

くすりの事典―病院からもらった薬がよくわかる〈2012年版〉

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