糖尿病の勉強

疾患概念を学びたい

個人勉強のノートです。脇道に逸れ、途中下車しながらですが、病気、診断方法、治療方法、そして特に、開発中の新薬についてまとめます。

糖尿病とは

糖尿病標準診断マニュアルに糖尿病の病態として、「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群である。2型糖尿病はインスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に、過食・運動不足・肥満などの環境因子や加齢が加わり発病する」と記載があります。

この病態の説明を分解しながら糖尿病を理解していこうと思います。

インスリン作用不足

インスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。インスリンの役割を大まかに言えば、血液中のブドウ糖(栄養素)の吸収を助け、血液中のブドウ糖の量を調節することです。少しだけ詳しく言うと、骨格筋や脂肪組織における糖の取り込みと利用の促進、肝臓における糖新生の抑制、脂肪の合成促進・分解抑制などを行います。

インスリンの作用が十分でなければ、ブドウ糖の組織への吸収ができず、血液中にブドウ糖が多く残ります。インスリンの作用不足が続けば慢性的な高血糖状態、つまり糖尿病となります。また、ブドウ糖(栄養素)が吸収できないことから、体重が減少します。糖尿病は、栄養を取りすぎて太った人の病気という印象がありますが、必ずしも(外見上)肥満した人だけがなる病気ではありません。

慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群

インスリン作用不足となる原因により、糖尿病は大きく1型と2型に分類されます。1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が自己免疫などにより破壊されることによりインスリンの分泌がなくなり、インスリン不足にある状態です。一方、2型糖尿病ではインスリンが分泌されますが、血糖値が下がらない原因として、インスリン抵抗性とインスリン分泌不全があります。

インスリン抵抗性は、インスリンの血糖値調節機能が低下した状態をいい、遺伝的要因と過食による肥満、運動不足どの環境的要因により起こります。一方、インスリン分泌不全は、遺伝的要因に加え、インスリン抵抗性や過食により増加した血糖値の調整のため過度なインスリン分泌が引き金になると考えられています。
(こちらも参考にしてください:2型糖尿病について [Lilly]

また、糖尿病の分類としては、これら以外に妊娠糖尿病もあります。それぞれの型で血糖値を調整する機能が破綻する原因が異なることから、糖尿病と一括りに呼んでいますが、糖尿病「症候群」と称する方が適切かもしれないです。

2型糖尿病の発現

過食、運動不足と聞くとメタボが思い浮かぶんだけど

メタボすなわちメタボリックシンドロームは、過食や運動不足などの環境要因と遺伝要因により内臓脂肪が過剰に蓄積され、さらには血糖値や血清脂質、血圧が軽度の異常を示す状態を指します。

異常は「軽度」ですが、言い換えれば、脂質異常症、高血圧症や糖尿病などの予備軍です。異常状態を放置すると、脂質異常症、高血圧症や糖尿病に発展し、さらには動脈硬化を進行させることになります。動脈硬化の進行により大きな血管が詰まれば、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。

つまり、過食や運動不足はメタボリックシンドロームの原因でもあり、糖尿病の原因でもあります。また、メタボリックシンドロームは糖尿病の予備軍の予備軍であり、動脈硬化が進行しつつある状態です。

なお、糖尿病は、メタボリックシンドロームの基準を満たさない人、つまり肥満でない人にも発症します。お間違えないよう。

メタボリックシンドロームと糖尿病

<図の補足説明~糖尿病関連~>

脂肪細胞には、中性脂肪を貯蔵するとともに、生理活性物質アディポカインを産生・分泌する機能があります。内臓脂肪が蓄積された状態とは、中性脂肪の蓄積量が増加し、脂肪細胞が肥大化する状態のことです。脂肪細胞の肥大化はアディポカインの産生・分泌に影響を及ぼし、インスリン抵抗性の原因である可能性があります。

糖尿病や重大な転帰である動脈硬化との関連を考えるときに重要なアディポカインとしては、動脈硬化を促進させる方向に働くTNF-α、動脈硬化に予防的に働くレプチン、アディポネクチンなどがあります。TNF-αはインスリン抵抗性を持たらす炎症反応への関与が疑われており、アディポネクチンはインスリン抵抗性を抑える働きがあるとされています(言い換えれば、アディポネクチンが少ないと糖尿病が進行する)。脂肪細胞から放出される遊離脂肪酸は、インスリンの骨格筋への糖取り込み作用を抑制します。また、主にマクロファージから産生されるレジスチンはインスリン抵抗性と正の関連性があります。

肥満つまり内臓細胞の蓄積は、このように、インスリン抵抗性を亢進する方向に働くのです。肥満の解消、つまり内臓脂肪を減らすことは、糖尿病の予防や治療にとって重要なことがお分かりいただけると思います。

[お断り] 当ページは、医学専門家ではない管理人個人の勉強ノートを公開したに過ぎません。従いまして、糖尿病について詳しく知りたい方は、専門書あるいは詳しい情報サイトをご覧ください。情報サイトですが、糖尿病リソースガイドメディ・マグ糖尿病などはその一例です。

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