開発中の糖尿病治療薬の調査について〜お断り
本ページでは、調査時(2013/3/14)の各社HPまたは製薬協HP「開発中の新薬」に掲載されていた未承認薬を抽出しています。今回は2回目の調査です(古い結果はこちらから)。なお、時間の制約上、基本的に管理人の抜粋した16社の情報をまとめています。このため、本ページ以外にも開発中の未承認薬があり得ることを予めご了承ください。
なお、時間経過とともに、開発ステージが上がる若しくは開発中止等の変更が生じることから、最新情報は製薬協HPまたは開発メーカーの公式HP等でご確認ください。(情報追加した箇所あります)
GLP-1アゴニスト
インスリン分泌促進薬。膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合してインスリン分泌を促進することにより、血糖値を低下させる。
治験記号(一般名) | メーカー名 | 開発状況 | 結果公表 | 備考 |
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AVE0010(lixisenatide) | サノフィ | 申請中 | P3試験等 | |
GSK716155(albiglutide) | GSK | P3 | P3試験等 | |
LY2189265(dulaglutide) | リリー | P3 | P2試験等 |
DPP-4阻害薬
DPP-4の阻害により、インクレチンGIPとGLP-1の血中濃度を高め、インスリン分泌を促進することにより、血糖値を低下させる。また、高血糖時にのみ血糖改善効果を示す。
治験記号(一般名) | メーカー名 | 開発状況 | 結果公表 | 備考 |
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KRP-104 | 杏林製薬 | 中止 | P2試験等 | 開発中止 |
SYR-472(trelagliptin) | 武田薬品 | P3 | ||
TAK-100 | 武田薬品 | 最新情報? | ||
OPC-262(saxagliptin) | 大塚製薬 | 申請中 | ||
MK-3102 | MSD | P3 |
SGLT2阻害剤
腎臓でのグルコース再吸収抑制により過剰なグルコースを尿中排泄し、インスリン非依存的に血糖値を低下させる。β細胞機能またはインスリン抵抗性に関わらずHbA1c値低下及び体重の減少をもたらす。
【ご案内】SGLT2阻害薬については、まとめページを作成中です。1日に1項目のペースでアップしていきます。6月下旬までには完成させる予定です。⇒関心のある方はこちらからどうぞ。
治験記号(一般名) | メーカー名 | 開発状況 | 結果公表 | 備考 |
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TS-071(luseogliflozin /ルセオグリフロジン) | 大正製薬 | 申請中 | 外部記事へ | 4/18国内承認申請 |
BI10773(empagliflozin) | ベーリンガー | P3 | 2013年中に申請 | |
BMS-512148(dapagliflozin) | BMS/AZ | P3 | P3試験等 | |
CSG452(tofogliflozin) | 中外/サノフィ/興和 | P3 | P2試験? | |
ASP1941(ipragliflozin) | アステラス | P3 | P3試験 | 3/13国内承認申請 |
TA-7284(canagliflozin) | 田辺三菱 | P3 | P3試験等 | 5/24国内承認申請 米国承認 |
インスリンアナログ
治験記号(一般名) | メーカー名 | 開発状況 | 結果公表 | 備考 |
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NN1250(insulin degludec) | NNA/S | 申請 | ||
NN5401 | NNA/S | 申請 | ||
LY2963016(insulin glargine) | リリー | P3 | ||
HOE901(insulin glargine ) | サノフィ | P2 | ||
LY2605541(dulaglutide) | リリー | P3 | ||
LY2605541(dulaglutide) | リリー | P3 | basal insulin analog |
その他の開発品(新作用機序など)
上記以外の開発品について、新しい作用機序で開発中の糖尿病治療薬を中心にまとめます。
治験記号(一般名) | メーカー名 | 開発状況 | 結果公表 | 備考 |
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JTT-851 | JT | P2 | GPR40作動薬 | |
TAK-875 | 武田薬品 | P3 | GPR40作動薬 | |
LY2881835 | リリー | P1(海外) | GPR40作動薬 | |
S-707106 | 塩野義 | P2a | インスリン抵抗性改善 | |
BMS-770767 | BMS | P1/2 | ||
AZD1656 | AZ | P2 | X 開発中止 X | |
TAK-329 | 武田薬品 | P1 | グルコキナーゼ活性化薬 | |
DS-7309 | 第一三共 | P1 | グルコキナーゼ活性化薬 | |
DS-6930 | 第一三共 | P1 | 選択的PPARγモジュレーター | |
MBX-2982 | サノフィ | P2 | GPR119作動薬 | |
DS-8500 | 第一三共 | P1 | GPR119作動薬 | |
DS-7250 | 第一三共 | P2 | DGAT1阻害剤 | |
BMS-823778 | BMS | P1 | 作用機序? |
DGAT1阻害剤の作用
ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、ジアシルグリセロール(DG)からトリアシルグリセロール(TG)を合成する酵素。TGは、カロリーを過剰摂取すると脂肪組織に蓄積して肥満をもたらす。DGTA1阻害剤は、DGATを阻害することにより脂肪合成を制御し、肥満を防ぐ。
GPR119作動薬の作用
GPR119は、膵臓のβ細胞および腸内分泌細胞に発現するGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、膵臓のβ細胞ではグルコース依存性のインスリン分泌促進作用、腸内分泌細胞ではGLP-1、GIPの分泌促進作用に関与する。つまり、GPR119作動薬はインスリン分泌の促進により血糖値を低下させる。
選択的PPARγモジュレーターの作用
PPARγは、脂肪細胞の核内受容体型転写因子であり、脂肪細胞の分化を促進する。PPARγ作動薬として武田薬品のアクトスがあるが、副作用の浮腫の問題が指摘されている。選択的PPARγモジュレーターは、PPARの多彩な転写共役因子をリクルートすることにより副作用を軽減する。
グルコキナーゼ活性化薬の作用
グルコキナーゼは、グルコースのグルコース6-リン酸への変換を触媒する酵素であり、全身のグルコース恒常性を保つうえで重要な役割を果たす。グルコキナーゼ活性化薬は、膵臓のβ細胞でのインスリン分泌能増強作用と肝臓での糖利用亢進作用の2つの作用を有する。
GPR40作動薬の作用
GPR40は、膵臓のβ細胞に高発現するGタンパク質共役受容体(GPCR)の1つ。遊離脂肪酸受容体1(FFAR1)としても知られる。GPR40は、遊離脂肪酸によって活性化され、グルコース依存的にインスリン分泌を促進する。GRP40作動薬は、高血糖状態においてのみ用量依存的なインスリン分泌作用を示すことが期待される。
インスリン抵抗性とは
インスリン感受性が低下すると、筋や脂肪組織における糖取り込み能が低下し、肝臓では糖新生が抑制できなくなる。その結果、血糖値が下がりにくくなり、血糖値を正常状態により多くのインスリンが必要ととなる。この状態が続くと、膵臓のインスリン分泌機能が低下し、血糖値が上昇する。