カナグリフロジンの臨床試験結果

2013年4月調べ

カナグリフロジンの臨床試験結果についてまとめました。【個人勉強です】

シタグリプチンとの併用で有効性を確認

試験方法 メトホルミンとスルホニル尿素誘導体の併用療法で血糖値が適切に管理できない2型糖尿病患者を対象として、カナグリフロジン52週投与の有効性および安全性をシタグリプチン(ジャヌビア)と比較する無作為、二重盲検、第3相試験。

一定量のメトホルミンとスルホニル尿素誘導体を服用している患者755例にカナグリフロジン300mg/日またはシタグリプチン100mg/日のいずれかを投与した。プライマリーエンドポイントは、52週時におけるHbA1cのベースラインからの変化とした。セカンダリーエンドポイントは、空腹時血糖値の変化(FPG)、収縮期血圧(BP)、体重、トリグリセライド値およびLDL-C値の変化率とした。安全性は、有害事象を基に評価した。

試験結果 カナグリフロジン300mgはシタグリプチン100mgよりもHbH1cを減少させ、非劣性を示す結果が得られた(それぞれ、-1.03% [-11.3 mmol/mol] および -0.66% [-7.2 mmol/mol])。また、投与群間の差の最小二乗平均値は、-0.37% [95%信頼区間, -0.50~-0.25]、-4.0 mmol/mol [95%信頼区間,-5.5~-2.7])であった。

また、カナグリフロジン群ではシタグリプチン群と比べてFPG、体重およびBPが有意に減少した(P<0.001)。有害事象発現率は、カナグリフロジン群で76.7%、シタグリプチン群で77.5%と同等だった。重篤な有害事象の発現および有害事象による中止例は両群とも少なかった。生殖器の真菌感染および浸透圧利尿に関連した有害事象はカナグリフロジン群に多く認められ、うち1例が投与中止した。両群の低血糖の発現率は道東だった。

本試験の結果から、カナグリフロジンは、血糖値コントロールおよび体重減少においてシタグリプチンよりも優れた改善を示す新規の治療薬であることが示唆された。一方、メトホルミンとスルホニル尿酸を服用している2型糖尿病患者においては生殖器感染症の増加が認められた。

参照情報(PubMed)Canagliflozin Compared With Sitagliptin for Patients With Type 2 Diabetes Who Do Not Have Adequate Glycemic Control With Metformin Plus Sulfonylurea: A 52-week randomized trial.

Schernthaner G, et al., Diabetes Care. 2013 Apr 5. [Epub ahead of print]

メトホルミンとの併用で有効性を確認

試験方法 メトホルミン単独療法で血糖値が適切に管理できない2型糖尿病患者を対象として、カナグリフロジンの効果を検討する無作為、二重盲検、プラセボおよび実薬対照、多施設、用量反応試験。

カナグリフロジン50mg/日、100mg/日、200mg/日、300mg/日(1日1回:QD)または300mg/日(1日2回:BID)を2日に1回投与、あるいは、シタグリプチン100mg/日(1日1回)またはプラセボのいずれかが451例の患者に無作為に投与された。

プライマリーエンドポイントは、12週時におけるHbA1cのベースラインからの変化とした。セカンダリーエンドポイントは、空腹時血糖値の変化(FPG)、収縮期血圧(BP)、体重、尿糖/クレアチニン比とした。安全性および忍容性も検討した。

試験結果 カナグリフロジンは、ベースラインのHbA1c値7.6~8.0%を12週後にを有意に減少した( カナグリフロジン 50, 100, 200, 300 mg QD, 300 mg BIDでそれぞれ-0.79, -0.76, -0.70, -0.92, -0.95%)。一方、プラセボは-0.22%、シタグリプチンは-0.74%だった。また、FPGは16~27mg/dL減少、体重は2.3~3.4%減少し、尿糖/クレアチニン比は有意に増加した。

有害事象は一過性、軽度~中等度だった。また、用量非依存的にカナグリフロジンに認められた生殖器感染症を除けば有害事象は用量間、対照薬を含む投与群間でほぼ同様だった。尿路感染症は用量非依存的に認められ、カナグリフロジン9%、プラセボ6%、シタグリプチン2%だった。低血糖の報告は少なかった。

カナグリフロジンとメトホルミンの併用は、2型糖尿病患者の血糖管理を有意に改善した。低血糖の発現は少なく、一方、体重を有意に減少した。安全性は、女性における生殖器感染症を除き、良好であった。

参照情報(PubMed)Dose-ranging effects of canagliflozin, a sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor, as add-on to metformin in subjects with type 2 diabetes.

Rosenstock J, et al., Diabetes Care. 2012 Jun;35(6):1232-8.

カナグリフロジンのFDA承認(アメリカ最初の承認)

アメリカで最初に承認されたSGLT2阻害薬となりました。BMS/AZのdapagliflozinの方が早かったですが、ご存じのように安全性の懸念が残るということで承認が見送られておりました。

FDA approves Invokana to treat type 2 diabetes

FDAがSGLT2阻害薬Invokanaを承認~要求された5つの市販後臨床試験(私の書いたブログです。よろしければ、こちらもどうぞ)

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