ダパグリフロジンの臨床試験結果

最終更新:2013年4月

ダパグリフロジンの臨床試験結果についてまとめました。【個人勉強です】

メトホルミンとの併用で有効性を確認

試験方法 メトホルミンで適切な血糖値管理が得られない2型糖尿病患者に対してダパグリフロジンを追加投与(併用投与)した際、24週時の血糖値管理に改善が認められている。本試験は、ダパグリフロジンの長期投与時の安全性検討を目的とした、この24週投与試験のExtension試験(延長試験)である。

本試験は、無作為、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、長期投与(最大102週まで投与可)第3相試験である。患者は、1:1:1:1の割合で割り付けられたプラセボ群、ダパグリフロジン2.5mg/日群、5mg/日群、10mg/日群のいずれかをメトホルミン1,500mg以上とともに服用した。

HbA1c、空腹時血糖値(FPG)および体重の変化の検討に際しては、欠損値をLOCFで補完し、共分散分析、反復測定分析を用いた。

試験結果 無作為化された546例のうち、78週間の投与延長期間の完了率はプラセボ群が63.5%がダパグリフロジン群(63.8%~79.8%)よりも低かった。

102週時のHbA1cのベースライン値(8.06%)からの変化(平均)は、プラセボ群+0.02%、ダパグリフロジン2.5mg群-0.48%(p=0.008)、5mg群-0.58%(p<0.0001)、10mg群-0.78%(p<0,0001)であった。また、102週時のFPGおよび体重は、それぞれ、ダパグリフロジン群で-1.07~-1.47mmol/l、-1.10~-1.74kgと減少したが、プラセボ群では減少が認められなかった。

低血糖はほとんど認められず、また発現例では重症ではなかった。生殖器感染症は、ダパグリフロジン群で11.7%~14.6%、プラセボ群で5.1%であり、ダパグリフロジン5mgの投与を受けた1例が投与中止となった。尿路感染症はダパグリフロジン群で8.0%~13.3%報告され、プラセボ群では8.0%だった。

(この論文は無料で参照できるため、問題化されている乳癌と膀胱癌の発現数を探してみると、結果欄にそれぞれ1例の発現が書かれていました。考察には記載がなかったと思います。発現時期については、乳癌が投与開始1年以内とだけ記載があります。24週までに発現し、FDA諮問委員会による審査時にカウントされていたのかどうかは分かりませんでした)

参照情報(PubMed)Dapagliflozin add-on to metformin in type 2 diabetes inadequately controlled with metformin: a randomized, double-blind, placebo-controlled 102-week trial.

Bailey CJ, et al., BMC Med. 2013 Feb 20;11:43. doi: 10.1186/1741-7015-11-43.

ダパグリフロジン:メトホルミンへの追加投与で有効

試験方法 メトホルミン投与で十分な血糖コントロールを得られない2型糖尿病患者546例に対して、メトホルミンに加えてdapagliflozinの2.5、5、10mg又はプラセボのいずれかを投与した。

試験結果 評価対象534例において、24週時のベースラインからのHbA1cの減少はプラセボ群で0.30% (95% CI -0.44 to -0.16)、 dapagliflozin 2.5mg 群0.67% (-0.81 to -0.53, p=0.0002)、5mg群0.70% (-0.85 to -0.56, p<0.0001) 、10mg群0.84% (-0.98 to -0.70, p<0.0001) であった。低血糖はdapagliflozin群(2-4%)とプラセボ群(3%)で同等だった。有害事象発現率はdapagliflozin群で高く、2.5mgで8%、5mgで13%、10 mgで9%、プラセボ群で5%だった。

参照情報(PubMed)Effect of dapagliflozin in patients with type 2 diabetes who have inadequate glycaemic control with metformin: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.

Lancet. 2010 Jun 26;375(9733):2223-33.

ダパグリフロジン:FDA諮問委員会の支持を得られず

FDA諮問委員会は、Dapagliflozinの安全性について追加検討の余地があるとして承認の支持を与えなかった(賛成6、反対9)。多くの事例において、FDAは諮問委員会の意見と同様の判断を下している。FDAは、10/28までに結論を出す。

議論された安全性の懸念事項は以下のとおり。

・対照群と比べて乳癌と膀胱癌の発現率が高い。(最大の懸念)

・1例に確認された肝機能障害。

・腎臓に対する影響が十分に検討されていない。

・糖尿病患者に多い高齢者等の投与例が十分でない。

臨床試験でこれらを確認するとなれば承認が数年間先になる。

一方、賛成票を投じた委員では、承認前に発癌性のリスク有無を検討することは難しく、承認後に実施することもできるとの意見もある。

情報源:Diabetes Drug Dapagliflozin Rejected by F.D.A. Panel (The New York Times, July 19, 2011)

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