SGLT2阻害薬のまとめ

(2013年6月)

糖尿病

欧米と同様に、我が国における糖尿病患者数は年々増加している。2011年度の調査では、糖尿病が強く疑われる人は男性の15.7%、女性の7.6%であり、糖尿病予備軍の男性17.3%、女性15.4%を合わせると、男性の33.0%、女性の23.0%にも及ぶ1)。つまり、日本人の4人に1人は糖尿病か、その予備軍となる。

糖尿病は、インスリン作用の不足により起こる慢性高血糖を主徴とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である2)。2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を来たす素因を含む複数の遺伝因子に、過食、運動不足、肥満などの環境因子や加齢が加わり発症する。インスリン作用不足は、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性によってもたらされるが、日本人にはインスリン分泌不全による2型糖尿病が多い。

血糖値が十分にコントロールできず、代謝異常が長期間にわたり持続すると特有の細小血管合併症または大血管合併症を来しやすい3)。多くの疫学的研究から良好な血糖値のコントロールが合併症の発症、進展阻止に有効であることが判明しており4,5)、一方では強度の血糖値コントロールが必ずしもイベント数減少につながらないことから6,7)、2型糖尿病の治療では血糖値をできる限り正常値に近づけることが治療目標となる。

2型糖尿病患者の約80%が肥満または体重過多であるが8)、肥満は糖尿病だけでなく動脈硬化の最大の原因であり、大血管合併症のリスクを増大させる9,10)。このことから、糖尿病治療ガイド2012-201311)では、体重は血糖値、血圧、脂質異常とともに治療目標の一つとされている。

References

1)   厚生労働省統計データ

2)   糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告

3)   Turner R, et al. Ann Intern Med 1996

4)   Diabetes Control and Complications Trial Research Group. N Engl J Med 1993

5)   UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group. Lancet 1998

6)   Ray K, et al. Lancet 2009

7)   Skyler JS, et al. Circulation. 2009

8)   Eeg-Olofsson K, et al. Diabetologia. 2009

9)   Bays H, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2004

10) Anderson JW, et al. Obes Res. 2001

11) 糖尿病治療ガイド2012-2013



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