SGLT2阻害薬のまとめ

(2013年6月)

糖再吸収とSGLT

生体の主要なエネルギー源であるグルコースは、疎水性の二十膜で構成された細胞膜を透過できず、細胞内に取り込まれるために糖輸送担体と呼ばれる特殊な膜蛋白を必要とする。糖輸送担体には、血管側の透過に携わる促通拡散型糖輸送担体(GLUT)と管腔側の透過に携わるNa共益能動輸送性糖輸送担体(SGLT)がある1)。GULTには13種類のアイソフォーム、SGLTには6種類のアイソフォームが見つかっている。

SGLTとGLUT(イメージ)

図:Yoojin Kim, et al. Diabetes Metab Syndr Obes. 2012から

生体の血糖値を正常にコントロールする機構として、腎臓で作られる糸球体濾液(原尿)中に含む1日あたり約180gの糖のほぼすべてが糖輸送担体の働きにより再吸収される2)。原尿中の糖は、主に腎臓の近位尿細管に発現するSGLT2において90%、主に小腸と腎臓の近位尿細管に発現するSGLT1において残りの10%が再吸収される3)。再吸収された糖は、GLUT1、GLUT2により血中に再還流される。

糖の再吸収(イメージ)

図:London New Drugs Group APC/DTC Briefing Document (November 2012)から

SGLT1/SGLT2を阻害すると、一部の糖が再吸収されず尿から排出される。例えば、SGLT2阻害薬ダパグロフロジンは、糖再吸収の約40%を阻害し、1日あたり70gの糖を尿から排泄させる4)。つまり、糖再吸収阻害は、インスリン非依存的な血糖値の低下をもたらし、糖尿病や肥満の治療方法として期待が持てる5)。現在、SGLT2を選択的に阻害するSGLT2阻害薬とSGLT1/SGLT2を同時に阻害するSGLT1/SGLT2阻害薬の開発が進められており、SGLT2阻害薬は2013年から2014年にかけて申請ラッシュを迎える。

References

1)   Wright EM,et al. J Intern Med. 2007

2)   Marsenic O. Am J Kidney Dis. 2009

3)   Nair S, et al. Pract Diabetes Int 2010

4)   Komoroski B, et al. Clin Pharmacol Ther 2009

5)   Stiles PG, et al. Am J Physiol 1903


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