立山・剱岳山行

3大難所通過を完成させるために企画した山行でした。

ヤマケイJOYに踊らされた2000年夏
〜ある労山1年生のひと夏の経験〜

初夏の頃月だったと思う、ある雑誌に目を引かれた。その雑誌の表紙には笑顔の男女2人。その後ろには鋭角に尖った山が写っていた。当時、労山2ヶ月生の私はこの有名な山の名前も知らず、でもそれが当然であるかのようにこの雑誌を購入した。

“ヤマケイJOY夏”は北アルプスの特集記事が組まれていた。紹介されていたルートは全部で18くらいだったろうか。どのルートも写真入りで魅力がいっぱいに感じられた。北アルプス未体験の労山2ヶ月生は、どこへでもこの雑誌を携行する“信者”になった。そんな時であった。「槍穂に行かないか?」という話が舞い込んだのは。

立山・剱岳山行
2000年10月6日〜9日

ここまで来ると勢い(+惰性?)だった。ヤマケイJOYで紹介されていた3大難所のうち2つは制覇した。残りは“カニ”さんだけ。これを通らずして2000年は終われない。情報では、“カニ”さんもそれほど難しくないと言う。難所マニアと自称していた労山6ヶ月生は悩んだ。行くべきか中止すべきか。この頃になるとヤマケイJOYを信仰していた数ヶ月前の自分が青く、でも可愛く思えた。4ヶ月連続の北アルプスへの山行となると、この頃は緊張感も薄れ、1度詰め込んだザックの中身も確認しない。それでも必要な装備はきちんとパッキングされている。少しは慣れたのかな。

今回は夜行で富山まで行き、そこから電鉄、ケーブルカー、バスを乗り継ぐ。出発の1時間前にJR大阪駅集合としたが、ホームには人が溢れていた。2人分の席しか確保できない。通路も人だらけ。途中で席を交換しようとしたNishiさんのところにはとてもたどり着けない。

立山は快晴。暑くも寒くもない。今までで一番の気象条件だ。一ノ越からは笠が岳、槍ヶ岳、それに遠くには富士山も見えた。紅葉もきれいだ。今日は写真を撮りまくり。景色が好い割には、立山三山のルートは大したことない。まさに初心者向けルートに思えた。労山6ヶ月生は11月下旬に初級冬山登山学校でここに戻ってくるため、下見を兼ねているつもりだった。

2日目は剱岳往復。剣沢テン場からサブザックでの行動。みんな元気だったためか、予定時間よりも早く登頂。剱岳山頂からの360°パノラマを楽しんだ。紅葉の美しいこの時期、この天候で剱岳山頂にいた僕らは幸せだと思った。といきなり山頂の話題でしたが、それだけ“カニのタテバイ”の印象は低かった。核心部と言われる一角に、鎖場ののぼりがある。労山6ヶ月生は鎖なしで上がった。さて再び山頂。Ishiさんは何を思ったか源次郎尾根に向けて下山を開始する。「おいおい、いくら“カニ”が手応え無いからといっても、源次郎尾根は無理だろう」

“カニのヨコバイ”も難なく通過。難所マニアの労山6ヶ月生は正直がっかり。と同時に、ヤマケイJOYに躍らされて「難所に行く!」とはしゃいでいた自分に腹が立つ。剣沢テン場に下り、みんなでおしるこを食べた。これで落ち着く。この時期、風が吹くとやはり寒い。この後、テントを撤収して雷鳥沢に下り、雷鳥沢ヒュッテの温泉につかる。次の日はみくりが温泉。山行としては楽でしたが、紅葉と温泉までも満喫できる楽しい“旅”でした。

 北アルプスへの交通手段:さわやか信州号

私は頻繁に北アルプスに出かけていましたが、そのときの移動は主に「さわやか信州号」や「急行ちくま」でした(関西在住だったので...)。

急行ちくまは臨時列車に格下げされ、その後はどうなったのか知りませんが、さわやか信州号は関西圏からも首都圏からも登山者を北アルプスに連れて行ってくれます。

予約は下からもできます。

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