SGLT2阻害薬のまとめ

(2013年6月)

SGLT2阻害薬の開発

SGLT阻害作用の研究として最初に用いられたのは、1835年にリンゴの樹皮から抽出されたSGLT1/SGLT2阻害作用を持つフロリジンである。フロリジンは血糖値を低下させるが、生物学的利用能が低いこと、SGLT選択性がないことなどの理由により実用化されていない1)

一方、実験動物を用いた研究は継続され、フロリジンによる尿糖排泄の増加により血糖値が低下した結果、糖毒性が改善し、膵β細胞のインスリン分泌能力の回復およびインスリン抵抗性の軽減が得られた2)

SGLT1は腎臓の近位尿細管のほかに小腸の刷子縁に発現するが、遺伝的にSGLT1が欠損するとグルコース-ガラクトース吸収不良症候群を発症して低栄養状態を来たすことがあることから3)、SGLT1の阻害は消化器系の副作用の増加が危惧される。

一方、SGLT2遺伝子変異のためにSGLT2が機能しない家族性腎性糖尿病患者は持続的に尿糖を排泄するが、治療を必要とするものではない4)ことから、標的としてSGLT2を主に阻害する薬剤(SGLT2阻害薬)の創薬・開発が進められた。

現在、日本で開発中のSGLT2阻害薬は、ルセオグリフロジン(luseogliflozin)、カナグリフロジン(canagliflozin)、エンパグリフロジン(empagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)、トホグリフロジン(tofogliflozin)、イプラグリフロジン(ipragliflozin)があり、このうち3剤が国内で承認申請を済ませている。

各社がSGLT2阻害薬の開発競争を繰り広げる一方、SGLT1/SGLT2阻害薬のLX4211の開発が進められている。SGLT1阻害は、消化器症状の副作用が懸念されるが、食後の小腸からのグルコース吸収を低下させ、さらにGLP-1を活性化すると考えられることから5)、食後高血糖のさらなる改善が期待されている。

References

1)   Stiles PG, et al. Am J Physiol 1903

2)   Rossetti L, et al.J Clin Invest. 1987

3)   Turk E, et al.Nature. 1991

4)   Calado J, et al. Kidney Int. 2006

5)   Zambrowicz B, et al.Clin Pharmacol Ther. 2012


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