山あるきの計画

例え登山ツアーへの参加であっても、山の計画は自分の力量と照らし合わせて確認しよう。

楽しい山あるき

私の考える山あるきは、喧騒の都会を離れ、野や山を「あるく」ことにより、自然を肌に感じ、楽しむことです。その意味から、ハイキングだけでなく、縦走や積雪期の登山であっても楽しく「あるく」ことができれば、広義な意味での山あるきだと思っています。また、楽しく「あるく」ことは、ストレスの解消や中高年に問題の生活習慣病の予防に大変に役立ちます。老いも若きも、各自の体力、技量や経験にあった楽しい山あるきをしたいものです。

それでは、山あるきを始めたばかりの人は、どのように計画を立てれば良いのでしょうか。

山あるきの計画

山あるきを計画するには、大抵の人はまずガイドブックに目を通します。ガイドブックには、通常、交通手段(アクセス方法)、簡単なルート図、コースタイム、歩行時間に加え、ルート上の見所やルートをあるく際のアドバイスが記載されています。山あるきを始めたばかりの方はガイドブックの記載を鵜呑みにする方が多いですが、例えばガイドブックの歩行時間は平均的な人を考えて設定しています。一緒に山あるきするメンバーの体力、経験を考え、余裕を持った計画とする必要があります。余裕を持った計画は、安全な山あるきにもつながる重要なことなのです。

山あるきを楽しくする工夫

他の人が計画した山あるきに連れて行ってもらっているだけでは、せっかくの楽しみを半減させている気がします。都会を離れて野や山に入るのです。花が咲いている時期、紅葉の時期に合わせた計画や、名水が沸いているなどの情報収集をしておくと楽しみが倍増します。私自身も、名水を飲み、名水で作った美味しい豆腐を食べた経験があります。ガイドブックや駅のハイキングのパンフレットは貴重な情報源です。

山あるきは、ひとりの場合もあれば、仲間とわいわいやりながら「あるく」ことも多いでしょう。職業や年齢を超えた(利害関係のない)仲間との山あるきは格別です。特に、下山後に仲間と一緒に飲むビールがですが...。そうです、仲間と行く山あるきは、自然とともに仲間とのふれあいを楽しむものなのです。この楽しみのためには、入山する地域の観光(や居酒屋!?)についての調査も計画に入ります。私の知っている登山計画の中には、下山後のビール工場見学や温泉入浴が計画に組み込まれた例が少なくありません。

誰もがリーダーになりうる

私が山岳会に所属していた頃、勤労者山岳連盟の登山学校に通ったことがありました。そこで聞いた言葉がとても印象に残っています。覚えている範囲で簡単に記載します。

誰もが山行のリーダーを経験してください。連れて行ってもらうのではなく、登山の計画、準備から山行中のペース配分に至るまで、リーダーシップを取ることを経験してください。友人や仲間と山に入る際、受身だけではいけません。山行パーティは船の乗務員のようなものです。リーダーは船長ですが、船員の協力が必要です。つまり、船は船長だけでは動かないのです。機関室にも操舵にも人が必要です。それと同じように、ツアー登山でもない限り、貴方にも何かしらの役割があります。また、山行中に船長が怪我や病気になれば、貴方が船長代理になるかもしれないのです。繰り返しますが、貴方は山行くパーティではお客でなく、船員なのです。受身でいてはいけません。

船員が自分の体力および経験を偽ったために、山行パーティが危険にさらされた話を、そのパーティの一員だった知人から聞いたことがあります。その例を次に書きます。

虚偽の申告が山行パーティに多大な迷惑をかけた一例

これはある外国人を含むハイキングパーティのメンバーから聞いた話です。ある外国人が「山あるきの経験豊富。脚力、ボッカ力に自信あり」と自己申告したのでメンバーに加えたところ、体力不相応の重さのザックを担ぎ、歩いている途中でバテてしまい、危うくパーティ全員を野宿(ビバーク)させるところだったそうです。

みんなの和に加わり、わいわいとハイキングしたいものですが、ある個人の軽率な判断がパーティ全体に迷惑を及ぼすことがあります。「外国人だからだよ」と他人事のように考えず、自分と仲間の体力と経験を山あるきの前に見直してみませんか?これができれば、将来の山行リーダーの第一歩であり、また”船員”として参加していると言えるでしょう。

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